「このジーンズは14オンスだから、しっかりした生地ですよ」
——ジーンズが好きな方なら、そんな会話を耳にしたことがあるかと思います。
ジーンズを語るときに欠かせない「オンス(oz)」という単位。
ふだん聞き慣れないオンスという単位が、なぜジーンズの世界で目立って登場するのでしょうか?
今回はジーンズメーカーであるボブソンの視点から、この「オンス」という単位を、丁寧にひも解いてみたいと思います。

(ボブソンのKD8ジーンズ 510復刻は14オンスの厚みのある生地をずっと使っています)
オンスは「厚さ」ではなく「重さ」
まず、実はここが一番多くの方が誤解しているポイントかもしれません。
オンスは「生地の厚さ」ではなく「重さ」を示しています。
より正確に言うと、1平方ヤード(91.44センチ四方=0.836平方メートル)あたりの生地の重量を、オンスという単位で表しています。1オンスは28.35グラム。ですから「14オンスデニム」というのは、1平方ヤードあたりで、およそ14×28.35=396.9グラムの重さを持つ生地、という意味になります。
肌で感じるジーンズの「厚み」や「がっしり感」は、生地の重さと相関していることが多いので、経験的には「オンス=厚さ」と語られがちですが、正確には「重さ」だと知っておくと、これから先の話がぐっと分かりやすくなります。
なぜオンスで表すのか
ジーンズという文化はアメリカから始まりました。
ヤード・ポンド法を使う国で生まれた織物ですから、生地の目付(めつけ)を示す指標も自然とオンスになりました。
フランスやイタリアで生まれた織物なら「1平方メートルあたり何グラム」という表記になっていたかもしれません。
ジーンズがアメリカからやってきたという歴史の名残が、今も「オンス」という単位に残っているのです。

ジーンズ1本分の重さ
ちなみにメンズジーンズ1着あたりのデニム生地の重さは、およそ600〜700グラムに達することもあります。ボブソンのセルビッチデニムシリーズは14オンスですので、1Kg程度もあります。
革ラベルや金属パーツを含めれば、1本のジーンズを手にしたときのずっしりした感覚には、しっかりとした裏付けがあるわけです。

世界最高オンスは?
一般的には、6オンス程度以下の生地を「ライトウェイト」、
14オンス以上を「ヘビーウェイト」と呼びます。
夏物のシャツやスカートに使われる薄手のデニムはライトウェイト側、しっかりした男物のジーンズは14〜16オンスがひとつの目安です。
近年では20オンスを超えるさらに重量級のヘビーオンスデニムも登場しており、これが現代における「世界最高峰」のオンスと呼べる領域です。
20オンスを超えると、1平方ヤードで567グラム以上。
ジーンズ1本で2キロを超えることもあるかもしれません。
重さは「糸の太さ」と「打ち込み密度」で決まる
生地のオンスを決める要素は、大きくふたつ。
糸(綿糸)の太さと、その糸を織り込んだ密度(打ち込み)です。
同じ太さの糸でも、密度を上げれば重くなり、下げれば軽くなります。
標準的な14オンスデニムの設計を例に挙げると、
たて糸は7番手で1インチあたり66本、よこ糸は6番手で1インチあたり44本、というのが業界での平均値。
「たて糸のほうがやや太く、打ち込みも多い」というのが、ジーンズの基本文法ですが、
1インチという短い距離の中に、66本もの糸が入っていると思うとびっくりですよね。

ボブソンが大切にしていること
オンスは、単なる数字ではなく、そのジーンズが仕事着として、あるいは日常着として履きやすいかを考えるうえでとても大切な指標です。
ヘビーオンスの重厚感が好きな方も当然もいらっしゃると思います。
とはいえボブソンとしては、ジーンズが日常着として履きやすい12オンス~13オンス程度を中心に揃えています。
また、厚みのあるセルビッチシリーズでも、定番のストレートやフレアタイプは14オンス、オーバーオールタイプはセルビッチ生地の中でも若干薄い9.5オンスの軽やかな生地を使用しており、商品やコンセプトによって生地を使い分けています。
ご自身のお好みに合う一着をオンスという視点から探していくのも面白い試みですので、是非これからの参考にしてもらえたら嬉しいです。