セルビッチジーンズの忠実な復刻で、どこよりも再現度が高いと有名なBOBSON。
貴重な生地であるセルビッチで作るジーンズは、一本一本こだわりを込めて大切に作り上げられています。
そんな得意分野であるセルビッチジーンズに力を注ぐ、BOBSONの職人へインタビューが実現しました。
オフィスでジーンズに触れながらのインタビューはスタッフとしても勉強になると思い、私も鼻息が荒くなっています。
それでは早速、BOBSONの職人実金さんのお話を聞いていきましょう。
職人の技でBOBSONを支える大黒柱
インタビュアー:
実金さんはかなりのベテランでいらっしゃるとお聞きしましたが、業界歴は何年くらいでしょうか?
BOBSONの職人実金さん:
この道30年です。細かい経歴を省いてザックリいうと、BOBSONの前にいた大きなジーンズ会社で10年間技術を蓄積させて、残りの20年間はBOBSONにいます。
インタビュアー:
社会人になるタイミングでジーンズの業界に飛び込まれたわけですね。
BOBSONの職人実金さん:
そうですね。モード学園で学んでいたのですが、最初は「就職したら子ども服をつくりたい」とぼんやり考えていたのです。しかし、同学校の友人に誘われて一緒に入ったジーンズ会社で技術を積んだことがきっかけとなり、今では20年間BOBSONにいるというわけです。
B-1969-XX-G セルビッチデニムジャケット Gジャン Type 3 Selvedge Denim
ヴィンテージジーンズを忠実に再現するためのこだわりとは
インタビュアー:
BOBSONにとって実金さんは無くてはならない存在ですから、私としてはご学友に感謝ですね。そんな実力派の実金さんはセルビッチジーンズを作る際にどういったこだわりを持っているのでしょうか?
BOBSONの職人実金さん:
細かな部分を上げるときりがないのですが、例えばヴィンテージジーンズを忠実に再現しているので、フロントのSLタイプのボタンは普通の物に比べて首の部分が少し太めになっています。
一方で、大量生産のジーンズは細いボタンを使っていて、細部までこだわっていないです。
加えて、純銅のリベットもこだわっている点です。
打ち抜きをしている証拠として、デニムの繊維がリベットから覗いています。
インタビュアー:
ステッチにも非常にこだわっているとお聞きしていますが、縫い方や糸にもこだわりポイントがあるのでしょうか?
BOBSONの職人実金さん:
ウエストの縫い返しがVの字になっています。
諸説ありますが、ウエストベルトのほつれ止めの意味と、昔は返し縫いが上手くできる技術が無かったので、縫い終わりを綺麗にする意味があったのかと思われます。
加えて、ステッチの運針と糸の細さや色が部分によって違います。
例えば、ポケットとフロントボタン周りの糸の細さや色が違っているという感じで、仕様書を通して細かく指示をして再現します。
またポケットを縫い付ける部分など、生地が何層も重なって厚みが出る場合は糸の運びに注意しなければいけません。
糸の感覚が狭すぎたり、広すぎたり、見た目が悪くなっていないか必ずチェックします。
インタビュアー:
誰もが知っているジーンズなのにヴィンテージジーンズともなると、こんなにも「職人さんのこだわり」があるとは驚きました。
実際に作った方のお話を聞けるって本当に贅沢です。
こだわりを持ってものづくりをする中で苦労したことはありましたか?
BOBSONの職人実金さん:
「こんなに細かなところにこだわるなら、作ること自体やめましょうよ。」と言われたこともあります。
例えば、細かいことですがセルビッチジーンズはサイドの縫い目でステッチの返し縫いをしていません。
ジーンズのベルト部分から降りるサイドの部分がどう縫われているのかなんて、注目する方はほとんどいないと思います。
今では自社でジーンズを作れるようにもなったのですが、以前は何社も縫製工場を渡り歩いてBOBSONのこだわりを再現してくれる相手を探したことがありました。
BOBSONのものづくりを再現してもらおうと細かい説明をすると、面倒くさそうな顔をされて、嫌がられることもしばしば。
何社も声をかけた苦労の末に、こちらが何も言わなくても高いクオリティで再現をして下さる企業を見つけ、今でもお付き合いが続いています。
510復刻 史上初国産デニムKD8デニムストレートジーンズ Straight Denim ワンウオッシュ 14ozデニム
ヴィンテージジーンズの忠実な再現は、たゆまぬ努力から生まれてくる
インタビュアー:
ご自身の持つこだわりを「ものづくり」に反映させる中で気を付けていることは何でしょうか?
BOBSONの職人実金さん:
東京に行ってジーンズを見たり、古い資料を読み込んだり、日々知識を蓄積しています。
20年以上前のことですが、初めて務めた会社で先輩からジーンズを一つ渡されて「これを忠実に再現して、同じものを作ってごらん。」といわれたことがありました。
再現する対象が手元にあるんだから簡単かと思いましたが、実際にやってみると、ディテールを再現できなかったのです。
そこで先輩から「目の前にあるものも作れないなら、頭の中で思い描いてるものも作り出せないぞ。」と言われました。
この言葉が衝撃的で今でも覚えています。
ですから、細部にまで興味をもって日々学ぶように心がけています。
インタビュアー:
実金さんの努力の結晶がセルビッチジーンズなのだと感じました。
多くの方にセルビッチジーンズを手に取っていただき、そのディテール
に注目してほしいですね。
今回インタビューしたBOBSONのアイテム
セルビッチジーンズ Straight Selvedge Denim【B-1969-XX-J】